郷土と天文の博物館ブログ

夏の星空とお月見(2020年)

令和2年9月2日

夏の星空

今年の夏は、南の空に明るい惑星が2つ、仲良く並んで輝いていました。博物館にもときどきお電話でのお問い合わせがありましたので、ご覧になった方もいらっしゃるかもしれませんね。とても明るい方が木星、その左に見える やや暗い方が土星です。まだまだ楽しめる、この2つの惑星を使って、夏の大三角という3つの明るい1等星を探してみましょう。

木星・土星と夏の大三角

午後8時から9時頃、南の方角が大きく開けた場所で、星を探すことにします。少し高いところに上ると、さらに空が広くなりますね。広い空がイメージ出来たら、南の空の半分より低いあたりで、一番目立って明るく輝いているのが木星です。

ちなみに、木星のような惑星は、星座の星と違って ぴかぴか瞬かず、空にぺたっと張り付いたように光っています。その木星が見つかったら、少し左に土星が控えめに光っているはずです。

土星が見つかったら、そのまままっすぐ上に向かって視線をずらしていくと、空の高いところに、ぴかぴか瞬く白い星が見つかります。これが夏の大三角の1つ目の星、わし座のアルタイルです。七夕の彦星ですね。

そのままさらに上を見上げると、真上よりほんの少し右後ろに見えるのがこと座のベガ、七夕の織姫星です。夏の大三角の3つの星の中では、一番明るく輝いています。反対側の左後ろに見えるのがはくちょう座のデネブです。白く輝く3つの星を結ぶと、細長い二等辺三角形のできあがり。これがお目当ての夏の大三角です。

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火星

空のてっぺんの大きな三角形は、夜が更けるとともに西に傾いていきます。今度は東の空を見てみると、赤く光る星が昇ってきています。地球の一つ外側をまわっている赤い惑星、火星です。

私たちの地球は、2年2か月ごとに外側をまわっている火星を内側から追い抜きます。このとき、2つの惑星が接近してとても明るく見えるのです。次の接近は106日、これから1か月かけて火星はどんどん明るくなります。ぜひ、本物の空で探してみてください。

月の形と見える方角や時間

夜空を楽しんでいると、月が出ていることがありますね。月は満ち欠けしますが、その形によって見える方角や時間が決まっています。例えば太陽が西に沈む夕方でしたら、細い月は太陽に寄り添うように西の空、半月なら南、そして丸い月は東の地平線から昇ったばかり。月は東に日は西に、ですね。丸い月は、一晩かけてゆっくり西へ向かい、明け方沈んでいきます。

十五夜のお月見、中秋の名月

十五夜のお月見、中秋の名月は、昔のカレンダーである旧暦の、8月15日に見える丸い月のことです。お月見の日がちょうど満月になるとよいのですが、月の動き方はとても複雑で、お月見の日と満月になる日が少しずれることもよくあります。

お月見というと9月というイメージの方が多いかもしれませんが、3、4年に1回は10月になります。今年は10月1日。満月になるのは、翌日の朝ですから、晴れればきれいな、真ん丸の月を眺めることができそうです。

写真:望遠鏡で撮影した十五夜の月の写真

十三夜

十五夜の次にやってくるのが十三夜、満月の少し前の、やや欠けた月を眺めます。十五夜を見たら、十三夜の月も眺めるのが縁起がよいとされているそうです。今年の十五夜は10月1日、十三夜は10月29日となっています。そして、月末の10月31日は、ちょっと珍しい10月二度目の満月です。ぜひ、カレンダーに書き込んで、本物の空を楽しんでみてください。

記事:博物館専門調査員(天文担当)

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