郷土と天文の博物館ブログ

夏至と太陽(2024年)

令和6年6月7日

 今年2024年の夏至の日は6月21日(金)です。
ところでいきなりですが、「夏至」はどんな日か覚えていらっしゃいますか?

写真:夏至のイメージイラスト

 夏至の日は「一年で一番昼間が長い日」が、多い答えでしょうか。もう少し丁寧に答えると、「太陽が一年で一番南の空高いところを通過する日」です。太陽は、東からのぼり、南の空を通過して夕方西の空に沈みます。太陽の南中高度が一番高くなるということは、太陽の通り道がそれだけ長くなりますから、結果、太陽が出ている昼間の時間が長いというわけです。

 ちなみに、「夏至」と一年で昼間が最も短い「冬至」では、昼間の時間の差がおよそ5時間もあります。夏至の東京での日の出は午前4時26分で、日の入りは午後7時ちょうどです。早起きしてもすでに明るいですし、夕方でも明るいですから、冬よりも活動的になれるのも頷けます。

 一年で昼間の時間が最も長い日が夏至ですが、ところが「一年で一番早く日の出を迎える日」や、「一年で一番日没(日の入り)が遅い日」ではありません。つまり、夏至の日は、日の出の時刻が一年で一番早い日でも、日の入りの時刻が一番遅い日でもないのです。

 調べてみると、日の出の時刻が一年で一番早いのは、65日から619日までで、夏至よりも前の時期です。さらに、日の入りの時刻が一年で一番遅いのは、623日から75日までで、夏至の後になります。
 これは、地球が太陽の周りをまわる公転軌道がまんまるの円ではなく、楕円の通り道であることと、地球が太陽のまわりを回る面に対して自転の軸が23.4°傾いているためなのですが、とにかく、一年で最も早い日の出の時刻と、最も遅い日の入りの時刻になるのは夏至の日の前と後にそれぞれずれ込んでいて、夏至当日ではないのです。

 65日からおよそ2週間の東京の日の出の時刻は午前4時25分です。一年で最も早く朝がやってきます。夏至の前、いつもより早起きして、朝日とともにお散歩したり、ひと仕事片づけたりするのも気持ちよさそうですね。

記事:博物館専門調査員(天文担当)/イラスト:博物館専門調査員(情報担当)

※このブログの内容は"FMかつしか「まなびランド」"で令和6年6月5日に放送した内容を編集したものです。博物館専門調査員(情報担当)

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