郷土と天文の博物館ブログ

土星(2024年)

令和6年9月19日

みなさんが最近、夜空の星を見たのはいつでしょうか?
そのときいくつ星が見えていましたか?
十分暗い夜空で一度に見える星の数はおおよそ3000個といわれています。肉眼で見える星の明るさは、街明かりのある夜空でも見える1等星から、暗い夜空で何とか見える6等星まで分けられます。
葛飾で晴れた夜空なら1等星を見つけやすいでしょう。

夜空で光る星には、太陽や星座をつくる星のように自ら光る星と自ら光っていない星があります。
太陽の周りをまわる惑星は自ら光っていません。太陽の光を反射して輝いています。なかでも、地球から比較的近くにあるものや、大きいものは明るく輝いて見えるので、肉眼でも見つけることができます。

9月下旬の午後9時ごろ、東の空に秋の星座が見えています。1等星の少ない秋の星座のなかで、今年は明るい星がひとつ見えています。それが『土星』です。土星は太陽に近い方から6番目の惑星になります。環のある惑星として有名です。また、太陽系の惑星で大きさは2番目です。また、土星はほとんどガスでできていて固い地面がないため、宇宙船で行っても着陸はできません。
最近の土星は、日の入り後に東の空にのぼり始め、真夜中ごろに南の空高くにのぼり、夜明けごろには西の空に沈むため、一晩中観察できる時期になっています。

2024年の土星は、秋の星座のひとつである『みずがめ座』と同じ方向に見えます。最近の土星は1等星とほぼ同じくらいの明るさで、街明かりのある夜空でも比較的見つけやすくなっています。
土星は、太陽から地球までの距離の約10倍のところで、約30年かけて太陽の周りを1周します。地球から見たときは、誕生日の星座のなかを約30年でひと回りするように見えます。

土星といえば大きな環が特徴です。実は、土星の環は1枚の板ではなく、岩や氷などの小さな粒でできています。探査機から撮影した画像には、バームクーヘンの断面のような縞状の模様が見えています。これは、細い環が数多く集まって幅の広いリングを作っているためです。
土星の環の幅はおおよそ地球3個分以上ありますが、それに比べて厚みは数十mから数百m程度です。土星の環は幅の割に厚みが非常に薄く、環の幅をすもうの土俵に例えると、厚みは模造紙ぐらいになります。

写真:NASA/JPL

また、土星の環は傾いて太陽の周りを回っているため、地球から見た土星の環の開き具合が変わります。環の見え方も少しずつ変わっていきます。
土星の環が大きく開いて見えるときもありますが、15年に一度、地球からほとんど見えなくなります。それが来年の春ごろおこります。今年の土星の環は薄くなっている様子が分かります。来年より先、2年後、3年後になるにつれて、環は再び開いていきます。

土星の環を見るためには望遠鏡が必要ですが、持っていなくても星を見る会などに参加して、今年から土星の環の変化を比べてみてください。

写真:土星の環の傾きの変化(国立天文台)

記事:博物館専門調査員(天文担当)

※このブログの内容は"FMかつしか「まなびランド」"で令和6年9月18日に放送した内容を編集したものです。博物館専門調査員(情報担当)

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