郷土と天文の博物館ブログ

星の一生と夏の夜空

令和8年8月29日

みなさんは、最近、夜空の星を見ましたか?
街明かりのある夜空でも明るい星は見えていて、よく見ると、星の色には違いがあります。

夜空に見える星を大きく分けると、太陽系の惑星と恒星があります。太陽や星座をつくる星は自ら光る星、恒星の仲間です。今回のお話の「星」とは恒星です。恒星の誕生から終わりまでのお話です。

星の色の違いは、表面温度と関係があります。大まかに、赤、オレンジ、黄色、白、青白い星の順に温度が高くなります。例えば、夏の夜空なら、さそり座のアンタレスは赤い星で約3000度、七夕の織姫星、こと座のベガは白い星で約10000度。他にも太陽は黄色い星で約6000度です。
では、どのように星ができるのか。それは、人の一生のように、誕生、成長、最期を迎える、「星の一生」をたどるお話になります。

写真:「The life of Sun-like stars」Credit:ESO/S. Steinhöfel

星の材料は、星と星の間にあるガスやチリです。ガスやチリが集まって濃いかたまりをつくり、そこにできる星の卵のような原始星のなかで、水素からヘリウムをつくる核融合反応が始まると星の誕生です。
このとき、ガスやチリのかたまりの中から同じ時期に星がいくつも誕生して、星の団体、星団になることもあります。
多くの星は星の一生の大半を主系列星として過ごします。星の色の違いで挙げた、太陽やこと座のベガは主系列星で大人の星に当てはまります。星の一生の終わりに近づくと、主系列星は大きくふくらみ赤くなり、赤色巨星や赤色超巨星という不安定な状態になります。これは年老いた星に当てはまります。さそり座のアンタレスは赤色超巨星です。アンタレスの大きさは、もし、太陽と同じ位置に置いたなら、火星の軌道付近まで広がります。
星の一生は、星の誕生までに集めたガスやチリの量、星の質量によって、色の違い、進化の道筋や寿命、最期が異なります。

星の寿命は、質量の小さい星ほど長く、質量の大きい星ほど短いことが分かっています。
質量の小さい星、例えば太陽なら、水素からヘリウム、炭素や酸素ができたあたりで核融合反応が止まり、赤色巨星からガスが広がって惑星状星雲となって終わりを迎えます。芯の部分には元の星より小さく重い白い星、白色矮星が残ります。
質量の大きい星では、質量の小さい星より多くの種類の元素を段階的につくります。例えば、マグネシウム、ケイ素、カルシウム、硫黄、鉄などです。このとき星の内側は、より重い元素を中心にして玉ねぎのような構造をもつ赤色巨星や赤色超巨星になります。その後、超新星爆発という大爆発をおこして最期を迎えます。そして、星のガスやチリが吹き飛んでできた超新星残がいのなかに、小さくて、とても重く、高速回転をする中性子星やブラックホールができます。
そして星の最期で外に放たれたガスやチリは、次の世代の星の材料として取りこまれます。

そこで、夏の夜空を使って星の一生をたどるなら、まず、へび座のわし星雲です。星雲のなかにある「創造の柱」という場所から星の誕生が見つかっています。
それから、たて座のM11は若い星々の集まりの散開星団です。また、夏の大三角のこと座のベガやわし座のアルタイルは大人の星で主系列星です。さらに、さそり座のアンタレスは年老いた星、赤色超巨星です。
そして、こと座のリング星雲は質量の小さい星の最期で惑星状星雲という天体です。また、はくちょう座の網状星雲は質量の大きい星の最期で超新星残がいという天体です。

写真:「ほしぞら情報 2026年8月の星図」国立天文台

星の一生は宇宙のあちこちでおきていて、くり返されています。
私達の体は、様々な「星の一生」からつくられた「元素」でできています。つまり、私達はみんな「星の子ども」といえるのではないでしょうか。

現在、3階天文展示室の一角で「天体でたどる星の一生」を展示しています。ご来館の際には、ぜひご覧ください。

写真:3階天文展示室「天体でたどる星の一生」の展示

記事:博物館専門調査員(天文担当)/写真:「The life of Sun-like stars」Credit:ESO/S. Steinhöfel、「ほしぞら情報 2026年8月の星図」国立天文台

※このブログの内容は"FMかつしか「まなびランド」"で令和8年8月19日に放送した内容を編集したものです。今後の放送予定は、お知らせ一覧より「かつしかFM『まなびランド』で博物館が情報発信しています。」をご覧ください。博物館専門調査員(情報担当)

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