プラネタリウム

第103回 火星衛星サンプルリターン計画(JAXA MMX計画)  はやぶさ2の次にくるもの

小惑星探査機「はやぶさ2」の活躍が順調に進む現在、その次の計画も着々と準備が行われています。JAXAでは、火星衛星探査計画(MMX:Martin Moons eXploration)が将来計画として進行中です。火星の衛星フォボスとダイモスを観測し、どちらかからサンプル採取して地球に帰還する探査計画です。計画の科学的な目的やプロジェクトの進捗状況を玄田先生にお話いだだきました。

(講師からのメッセージ)
「はやぶさ」の感動、そして「はやぶさ2」の躍進。次に何がくるのか?これまでに培った技術を武器に、火星の月から砂粒を地球に持ち帰ってくる新たな計画が進んでいる。日本はなぜ火星の月を選んだのか?火星の月を調べることで何がわかるのか?そして、さらにその先、日本は探査で何を目指すのか?そこには、日本のしたたかな戦略が隠されている。

概要

日時

令和1年5月25日(土曜日)午後7時~午後8時30分

講師

玄田 英典(げんだ ひでのり)氏
東京工業大学 地球生命研究所 准教授

講演プログラム(当日配布したレジュメより)

  1. 日本の太陽系探査を振り返る
  2. MMX計画の概要
  3. なぜちっぽけな火星衛星を目指すのか
  4. NASAをギャフンと言わせるサイエンス
  5. 20年後のフロンティア
  6. 質疑応答

聴講者からの質問と講師回答

MMXは、なぜ火星衛星に早く到達できるのでしょうか?はやぶさ2は到着まで4年くらいかかっていたと思いますが…。 (Nさん・男性・60歳)

地球から火星圏に効率的に飛行するタイミングはおよそ2年に1回あります。そのタイミングに合わせると少ない燃料で到達することが可能です。また、「はやぶさ2」は電気推進(イオンエンジン)でしたが、火星衛星探査計画(MMX)では化学推進(燃焼)を用いる予定のため、短時間で加速・減速ができ、その結果、早く火星に到達することが可能になります。

探査機の構造などはどのあたりまで決まっているのでしょうか?はやぶさ、はやぶさ2等の構造を受け継ぐような格好になるのでしょうか? (Bさん・男性・40歳)

探査機の基本的な構造は現在検討中で、今後徐々に詳細に決まっていく予定です。搭載する主な観測機器は決まりつつあります。搭載する機器が異なるので、はやぶさ、はやぶさ2とまったく同じ構造にはなりませんが、これまでの経験を生かした探査機設計が行われています。

サンプルのとり方は、はやぶさと同じ方法ですか?新しい技術とかやるのでしょうか? (?さん・女性・?歳)

まだ決定していませんが、ロボットアームでサンプルを採取する方法なども検討されています。MMXのウエブサイト(外部サイトが別ウィンドウで開きます)に最新情報が掲載されていますので、ぜひご覧ください。

将来の火星地下圏生命探査では、顕微鏡はだれが作りますか? (?さん・女性・40歳)

様々な大学・研究機関が生命体検出のための顕微鏡装置の検討を行っております。

たんさきは1台何円(いくら位)するのですか。 (Oさん・男性・8歳)

たんさきは、100億円以上します。

MMXは「かぐや」や「はやぶさ」の様に、名前を募集する予定はありますか? (Nさん・男性・44歳)

予定は未定ですが、これまでの様に、名前を募集する可能性もあるかと思います。その際は、応募よろしくおねがいします。

探査機の名前は「こだま」でどうでしょうか? (Sさん・女性・41歳)

日本的な感じで、「にぎり」っていうのもいいですね。

MMXの探査機は秒速どれくらいになりますか? (Nさん・男性・44歳)

火星までの距離がおよそ6000万キロメートルで、約1年で到着しますから、平均で秒速2キロメートルとなります。

他国の探査機、ESAやNASAの探査機との協力といったものはありますか? (Yさん・男性・22歳)

例えば、現在まだ火星を観測しているESAの「マーズ・エクスプレス」に、火星衛星をちょっとだけ観測してもらうといった協力が検討されています。MMXに搭載する機器レベルでは、すでにアメリカやフランス等と協力しています。

宇宙・惑星探査にはいくらお金がかかって、回収することができるのでしょうか? (Yさん・男性・47歳)

探査の規模によりますが、10億円?1000億円以上かかります。商業目的ではないので、直接的な資金の回収はありません。一方で、宇宙探査で開発された技術が民間利用されることによって間接的に役立っていることは多々あります。

将来は民間が参入できるのでしょうか? (Yさん・男性・47歳)

ロケットや探査機の開発・設計・製作はすでに民間企業と協力して行っております。

今後JAXAが月へ有人飛行することはないのですか? (Nさん・女性・39歳)

JAXAが主体となって行うという計画はありません。一方で、月への有人飛行は、現在、民間企業が精力的に計画しており、そちらの方面で進展すると思います。

衛星表面を移動しながら探査する探査機の移動方法はどの様なものですか? (Pさん・男性・53歳)

車輪のついた探査車、低重力下を跳ねて移動する探査機などが考えられます。

地球から外側の軌道と内側の軌道への探査機を送り込むには難度に差はありますか? (Pさん・男性・53歳)

一般的には、内側の軌道へ探査機を送り込む方が難易度が高く、燃料もたくさん使う場合が多いです。さらに、太陽に近い場所では、探査機の温度が上がって機器が故障しないように配慮する必要もでてきます。

サンプルリターン等以外のミッションとしては、火星など2年近くで具体的にはどんな観測をするのですか? (Hさん・男性・50歳)

搭載した可視光・近赤外カメラで、火星の雲やダストの生成・移動・消滅などの観測や、火星大気から流出してくるイオンを観測したりします。また、火星衛星に対しても、リモートセンシング観測を行い、火星衛星の表面の素性を明らかにし、着陸地を選定したりします。

(MMX計画で、火星の衛星フォボス・デイモスの)どちらの衛星に行く予定ですか? (?さん・女性・40歳)

まだどちらの火星衛星に着陸してサンプルを回収するか検討中ですが、着陸しない火星衛星にも接近して、観測を行えるよう検討を進めています。

着陸する対象の衛星をフォボスにする理由は何ですか?火星本体の物質が多いとか…。 (Pさん・男性・53歳)

まだどちらの火星衛星に着陸するかは検討中です。できれば、2つの衛星に着陸してサンプルを回収したいですが、探査機に積める燃料の問題やリスク回避のため、計画では、どちらか一方にのみ着陸する予定です。これまでの火星探査機が、火星衛星に対して行った観測によると、デイモスの表面がスペクトル的にかなり一様なのに対して、フォボスは、デイモスの表面に類似した部分とそうでない部分があることがわかっています。フォボスから2種類のサンプルを回収すれば、スペクトル的には、デイモスに似た試料も採取できるのではないかと考えています。また、ご指摘のように、火星の近くを回っているフォボスの方が、火星物質を多く含んでいる可能性が高いのも魅力です。

フォボス・ディモスの成因として、捕獲説、衝突説以外の説はあるのでしょうか? (Nさん・男性・69歳)

地球の月の起源の場合、捕獲説、衝突説以外に、分裂説、共成長説というのがありましたが、火星衛星が極めて小さいことから、分裂説や共成長説はありえないと考えられていますが、「事実は小説よりも奇なり」ということもありますから、サンプルが地球に帰ってくるまでは本当のところはわかりません。

フォボスとディモスの片方、例えばフォボスが巨大衝突でディモスが捕獲小惑星という可能性はありますか? (Yさん・男性・22歳)

起源が異なることは十分にありえると思います。

火星の衛星の誕生説が2パターンあって、衝突説が有力とのことですが、衝突説ではなかった場合は、フォボスには火星の成分が少ないのですよね。その場合は結局火星に行かなくてはならないということですか? (Tさん・女性・?歳)

分量は少なくなりますが、捕獲説でも、火星の表面に衝突した隕石の衝突などで、火星表面の物質がわずかにフォボス表面に降り積もっている可能性が指摘されています。

起源がそれほど重要なのか、よくわからない気がします。夢はありますが…。 (Yさん・男性・47歳)

起源、気になりませんか?

はやぶさ等で砂のサンプルリターンは多いですが、ガスのサンプルリターンは難しいのですか? (Sさん・男性・24歳)

ガスを採取する場合は、カプセルを完全に密閉する必要があります。砂粒の場合は、砂粒が漏れ出てこない程度の密封で済むので、工学的には、ガスをサンプルリターンするのは大変難しいです。

探査機の着陸地点を着地しやすい場所とした場合、その場所(地点)で有効なサンプルが得られるかどうかはどのように判断するのでしょうか?何ヶ所も着地する予定なのでしょうか? (Tさん・男性・55歳)

まだどちらの火星衛星に着陸するかは検討中ですが、理論的な予備調査では、フォボス上の砂粒は、隕石衝突などで、比較的良く混ざっていることがわかっているので、多少の当たり外れはあるものの、大外れはないと考えています。その上で、より面白いサイエンスを展開するためには、どの場所からサンプルを採取するかは、最初の1年に行う探査機のリモートセンシングの解析が重要となってきます。それらのデータを良く調べて、限られた時間内に、より有効な場所を見つけて着陸&サンプル採取を行うことが肝要かと考えています。

サンプルが10グラム以上というのはなぜですか?10グラム以下はダメ? (Sさん・男性・24歳)

分析によっては、たくさんの試料を必要とするものもあります。工学的に無理のない最大の量、というのが現段階では10グラム程度ということです。

たった10グラムのサンプルリターンでそんなに色々わかるのでしょうか…?10グラムの中にうまく入るのでしょうか。やっぱり運が絡みますか?狙うことはできますか? (Fさん・女性・22歳)

最初の1年間のリモートセンシングの結果を見て、着陸地点を決めるわけですが、できるだけ、いろいろなことがわかりそうな場所を見つけることが肝要かと思っています。

フォボスから10グラムの資料を持ち帰るとのことですが、フォボスのごく一部、ピンポイントのサンプルから、火星の成り立ちまで判明した!と宣言しちゃってOKなんでしょうか?フォボスの地表はどこをとっても成分が同じなんですか? (Aさん・女性・43歳)

まだどちらの火星衛星に着陸するかは検討中ですが、理論的な予備調査では、火星表面の複数箇所の砂つぶがフォボス表面に降り積もっている可能性が高いことがわかっています。またフォボスに隕石の衝突が頻繁に起こったことから、フォボス表面の砂つぶは、よく混ざっている状態だと考えられています。これらが本当に正しいかどうかは、実際に試料を地球に持ち帰るまでは断定できませんが、フォボス上の一箇所から火星の様々な表面の砂粒が採取できると期待しております。あきさんがおっしゃられるように、わずか10グラムの試料からどれくらい断定的なことが言えるのかは、細心の注意を払って研究を進めていく必要はありますが、現在の分析技術は、月の石を400キログラム持ち帰ってきたアポロ計画の時代に比べると、比較にならないぐらい向上しており、少量の試料からもかなりの情報を得ることができます。

人が行けるまでに何年かかるのか? (Yさん・男性・47歳)

安全に人を火星に送るためには、まだ10年以上は時間がかかるかと思います。

火星に生命体がいて、それを地球に持ち帰るとすると地球の大気けんで生命体は死にませんか? (Sさん・男性・10歳)

カプセルに生命体が入っている可能性が高い場合は、地球の大気圏に突入して、カプセルを回収するまでの間に、カプセルが開かないように厳重なカプセルにする必要があります。一方、火星衛星で採取した砂つぶには生命体が生きている形で入っている可能性は極めて低いため、それほど気にする必要はないようです。

火星が地球みたいだった時期に人間のように文明をともなった生物が住んでいた可能性もあると思いますか? (楽しかったですさん・女性・?歳)

ないとは言い切れませんが、かなり低いかと思います。というのも、地球の場合、生命が誕生して、進化して多細胞化するのに何十億年も時間がかかり、ここ最近になって人類が誕生したことを考えると、初期の10億年程度で現在の様な環境になってしまった火星を考えると、生命がたとえ誕生したとしても、知的生命体にまで進化する時間的な余裕はなかったのではないかと考えています。

火星にもしバクテリアがいたら、どんな姿をしている可能性があるでしょうか? (?・女性・?歳)

少なくとも、生命と非生命を分ける壁のようなものが必要だと思います。地球生命の場合、その壁は、細胞膜なのですが、火星のバクテリアも、おそらく、膜に覆われているかと思います。形状に関しては、球形がやはり物理的に安定な状態なのではないでしょうか?

仮に生命がいるとしたら、どのようなものだと思われますか?もしいたら、何を栄養としているのでしょうか? (Yさん・女性・?歳)

大変、難しい質問です。まさに、そもそも生命がいるのかどうか?いるとしたらどのようなものなのかを明らかにするのが、将来の火星探査そのものであると思っています。地球の生命を見る限り、様々な形態の栄養を利用している生物がいるので、火星でも、環境に合わせて、様々な栄養を利用していると思います。

火星移住についてはどう思いますか? (Sさん・女性・41歳)

私は移住したくないですが、技術的に可能かつある程度の安全性が保たれれば、移住したいと思う人もいるかと思います。人類全員がそうではありませんが、人類の歴史を見る限り、人類は新天地を求めて冒険にでる傾向にあるようです。火星移住に関しても、そのような歴史的な流れを考えれば、自然な行動なのかもしれません。ただ、私は、火星には行きたくないです。

火星に行ったら住めるようになるのですか? (Nさん・女性・39歳)

今の状態の火星では、大気が薄く(地球の100分の1)、酸素もなく、気温も低いので、火星表面の外に人が住むことはできません。住めるような環境にしたシェルターのようなものが必要です。フロンガスのような超強力な温室効果ガスを火星に散布して、気温を上昇させて、火星の極にあるドライアイスや、地下の氷などが溶けて、大気に放出するようになれば、外でも暮らせるようになるかもしれません。その場合でも酸素マスクが必須ですが、さらに光合成をする微生物をばらまいて酸素を発生させることができれば、いづれは火星表面で、地球と同じように暮らせるようになるかもしれません。そのような環境が整うためには、少なくとも100年以上はかかります。

ジャイアントインパクトでぶつかったことがわかったということは、逆算すれば月の素がどこから来たか計算でわかりますか?月の素の余りは楕円軌道でどこかをとんでいますか? (Sさん・男性・24歳)

どの速度で、どの角度で、どの場所にぶつかったかわかれば、ある程度は逆算できますが、現段階ではそこまで詳しく遡ることはできていません。月の素の余りの大部分は、月形成時に、地球へ落下したと考えられています。

重力天体着陸は何が難しいですか? (Sさん・男性・24歳)

探査機の姿勢を制御しながら、落下速度を落としつつ、地面に超低速で着地しなければなりません。失敗が許されないレベルにまで着陸精度を上げないといけないので、難しくなってきます。また、地上から探査機を制御するにしても、相当量のタイムラグが発生します。例えば、地球と月の距離では、3秒ほどのタイムラグが発生します。火星にいたっては、最低7分のタイムラグが生じます。

火星探査衛星とても楽しみです。月はこれ以上探査・調査の必要はありませんか? (?さん・?性・?歳)

地球の月は、実は最近注目度が上がってきています。それは、月の極域にあるクレーターの底に氷がある可能性が高まってきたからです。これを将来の月基地建設のための資源や、月からロケットを飛ばす際の燃料として使えば、地球から水を持っていく必要がなくなります。日本では、あまり多くは報道されませんが、現在、世界各国の宇宙機関(中国やインド、韓国、イスラエルなど、もちろんアメリカも)がこの月の水という資源の獲得を目指して活発に動いています。

石の年齢はどうやってわかるのですか?放射性同位体?組成を調べると、衝突天体由来か火星由来かマントル成分とか全てわかるのですか? (?さん・女性・?歳)

はい。放射性同位体の組成を調べると、溶けていた状態の石が固まった時の年代などがわかります。試料がどれに由来するかは、同位体を精密に分析することで、分けることができます。また、同位体だけでなく、どのような種類の元素が多く含まれているかで、大雑把に由来がわかったりもします。

月の年代測定はジルコンが使われていたのですか?他の方法ですか? (Oさん・男性・62歳)

はい。ジルコンには、年代測定に適したウランや鉛がたくさん含まれているので、1970年代の分析技術でも、年代を特定することができました。最近では、微少量でも分析が可能となってきたので、ジルコンに限らす、様々な鉱物で年代が測定されています。

月で採取した石の年齢は45億才とのことですが、どのようにしてわかったのでしょうか? (Y・女性・26歳)

ある特定の元素は、時間が経つと、ある一定の割合で放射線を出して、別の元素に変わります。例えば、今問題となっているセシウムには、半減期が2年のものと30年のものがあります。天然の元素としては、もっと長い半減期をもつものもあり、例えばカリウムには半減期13億年のものがあります。このような特定の元素のことを放射性元素というのですが、これらを詳しく分析することによって、いつ石が溶けている状態から固体の状態になったのかを知ることができます。このようにして月の石の年齢は調べられました。

研究のきっかけとなるデータはどのように得られるのですか?地球からの観測のみでわかるのはどこまでですか? (Sさん・男性・24歳)

やはり、地上の望遠鏡による観測が、最初に得られるデータです。一方で、地球には大気があって、すべての種類の光を観測することは難しいので、探査機を送ったり、宇宙に打ち上げた望遠鏡での観測が次のステップになります。光には天体の様々な情報が含まれているので、できるだけいろいろな種類の光をとらえることが重要となってきます。最終的には、「はやぶさ」や「はやぶさ2」のように、天体の試料を地球へ持ち帰って、地球上で詳しく分析することによって、光だけではわからなかったことがわかってきます。

玄田先生のシミュレーションのその他の成果はどんなものがありますか? (Kさん・男性・34歳)

色々ありますが、例えば、土星の環がどのようにして作られたのかを調べたシミュレーションや、小惑星リュウグウがどうやって作られたのかを調べたシミュレーションなど、があります。

シミュレーションに対する著作権料は発生するのですか? (?さん・女性・?歳)

シミュレーションを映像化した際には、著作権は生じると思いますが、料金が発生するかどうかは、場合によるかと思います。シミュレーション結果のデータそのものには、著作権といった話はあまり聞いたことがありません。

地球はジャイアントインパクト(衝突)が5回あったとのことですが、立て続けに起こったのでしょうか?これからも起きる可能性はありますか? (?さん・女性・?歳)

約1億年の間に5回程度あったと考えられいますので、立て続けという感じではないです。今後、ジャイアントインパクトが起こる可能性は極めて低いです。今後50億年で1%あるかないかといったレベルですので、ご安心ください。

けんきゅうチームは、なんで小わくえいと、火せいと、月だけなんですか?わたしはいちどでもいいから木せいにいってみたいです。なぜかというと、なんかあんぜんそうだからです。 (Sさん・女性・7歳)

木星(もくせい)にも探査機(たんさき)をおくる予定(よてい)です!日本はヨーロッパの国々と協力(きょうりょく)してジュースという探査機を2022年にうちあげる予定です。木星への到着(とうちゃく)は2030年を予定していますので、「Sさん」ちゃんは18才になっているかと思います。

火星の大気の厚さはどのくらいですか? (Pさん・男性・11歳)

現在の火星の大気はとてもうすく、火星表面の大気の圧力は地球の100分の1しかありません。大気の厚さに関しては、火星は地球よりも重力が小さいので、大気は地球よりも若干宇宙空間へ広がっていますが、そもそも地球よりも薄い大気ですので、その意味では、地球の大気よりも厚さは小さいです。

火星に行くにはどうすれはいいですか。火星にクレーターはあるんですか。 (将来は火星に行きたい人さん・男性・12歳)

宇宙飛行士を目指すか、超大金持ちになるかでしょうか。将来的には、何十年先になるかわかりませんが、大金を払えば火星に行くことが可能となるような世の中になっている可能性が高いと思います。火星にもたくさんクレーターはあります。例えば、現在NASAのキュリオシティ探査車が火星表面を探査している場所は、ゲイルクレーターといって、大昔に隕石衝突でできたクレーターで、大昔は、このクレーター内を水が満たしていて湖のような状態であった可能性が高いことがわかっています。

地球とフォボスはだいたいどれくらいのきょりですか? (Aさん・男性・11歳)

地球と火星が太陽の周りのどのあたりにいるかによってかわりますが、一番近い時は、約7500万キロメートルで、一番遠い時は、約4億キロメートルになります。結構、差がありますね。ちなみに、火星衛星探査計画(MMX)では、2年に1回、火星に最も効率的に到達できるタイミングをみはからってロケットの打ち上げをすることで、燃料の節約をします。

「イトカワ」ってどんな形ですか?一番小さい星はなんですか?重力が一番大きい所と小さい所はどこですか? (Rさん・女性・9歳)

「イトカワ」の形は、殻(から)をむく前のピーナッツのような形をしています。一番小さい星としては、宇宙空間をただよう塵(チリ)も星と思えば、塵が一番小さいのではないでしょうか?大きさでいうと、1センチメートルの1000分の1ぐらいの大きさで、地球にも毎日のように大量に降り注いでいます。重力が一番大きい場所は、太陽系では、太陽の表面で、地球の28倍あります。一方、一番小さいところは、ほぼ0の宇宙空間ではないでしょうか。

フォボスとデイモスの名前のゆらいはなんですか? (Rさん・女性・9歳) フォボスとディモスの名前の由来と意味は何ですか? (Sさん・男性・11歳)

ともにギリシャ神話に出てくる神の名前ポボス(=フォボス)とデイモスが名前の由来です。2人は兄弟で、父親はマルス(=マーズ=火星)で、納得です。天体の名前の多くは、ギリシャ神話の神様の名前がつけられます。

70年代に「ダイモス」という漫画がありました。フォボス人とダイモス人の闘争に地球人が巻き込まれるというストーリーでしたが、先生はお読みになったことはありますか? (T・男性・55歳)

すいません。読んだことありません。今度、探して読んでみようと思います。ありがとうございました。

葛飾のプラネタリウム番組に「サテライト・オデッセイ」※という名作があり、火星からフォボスとダイモスを「月見する」というコンテンツがあるのですが、玄田先生もごらんになりたいと思いませんか? (T・男性・55歳) ※これは10年程前にリリースした現在は通常公開していないプラネタリウム番組です。

10年程前にリリースした現在は公開していない番組とのこと、運営サイドから伺いました。火星衛星探査計画(MMX)のこともありますし、ぜひ、再放送することになりましたら、一度拝見したいと思っています。

火星の赤い色は酸化鉄の色らしいが、その酸素はどこからきたのでしょうか?火星にかつて海があったのなら、光合成の可能性もあるのでは? (?さん・男性・70歳)

鉄を酸化させた酸素がどこから来たのかについては、未解決の大問題です。昔大量にあった水が宇宙空間に失われる際、水分子が水素と酸素に分離して、軽い水素が選択的に宇宙に失われて、残った酸素が地面の鉄を酸化させたという説があります。生命が誕生して、進化する時間が十分にあれば、太陽の光を利用した光合成生物も誕生するかもしれません。

月やイトカワ以外の天体からも、サンプルを持ち帰った例はあるのでしょうか?もしあれば、解析からどのようなことがわかっているのでしょうか? (Fさん・男性・58歳)

NASAのジェネシス探査機が、太陽から流出する太陽風を捕獲して、地球に持ち帰りました。太陽風は太陽から流出している物質であるので、それらを分析することで、太陽がどういう物質でできているかを詳しく知ることができました。太陽の組成は、この太陽系を作った原点とも言える組成なので、その後の太陽系の成り立ちを考える上の出発点として重要な意味を持ちます。また、NASAのスターダスト探査機が、ウィルド第2彗星から放出されている粒子を捕獲して、地球に持ち帰りました。それらの粒子を分析することで、彗星がいったいどういう物質で構成されていて、なおかつ彗星がどのような歴史を経て、現在のようになったのかを知る手がかりを得ることができました。このように、サンプルを地球に持ち帰り、地上で詳しく分析することによって、望遠鏡や探査機のカメラでの観測では得ることが難しいことがいろいろわかるようになります。

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