プラネタリウム

第53回 なぜ、めい王星は惑星じゃないの?  科学の進歩は常識を変える

夏休みは、子どもたちや子どもを持つ保護者の方の星や宇宙への関心が高まる時期でもあります。 そこで、大人も子どもも一緒に星や宇宙の不思議を楽しめるジュニア向けの講演会を開催致しました。

概要

日時

平成22年8月7日(土曜日) 午後7時~8時30分

講師

布施 哲治 氏(情報通信研究機構 鹿島宇宙技術センター・主任研究員)

講演プログラム

自己紹介

研究者を目指したきっかけ、旧・現研究所紹介、著書紹介

なぜ、めい王星は惑星じゃないの?

大昔から、人々は夜空を見て星に興味を持っていました。知られていた惑星は、水星から土星までの6つです。江戸時代の終わり近くに天王星が、同時代の終わり間近に海王星が、昭和の始まりにめい王星が見つかり、惑星は9こ個になりました。1992年以降、めい王星とに似たようなところにたくさんの天体が見つかりだし、ついにはめい王星よりも大きな天体も発見されました。2006年、「こういう天体を惑星とよ呼ぶ」というルールがき決まり、その結果、めい王星は惑星ではなく、準惑星というグループに入ることになりました。この歴史は、科学の進歩が当たり前と思っていたことがらを変えていくことを示しています。

講演1

プラネタリウム「太陽系からオールトの雲まで」

講演2

夏休みの読書感想文にむけて

質問コーナー

「星や宇宙の疑問に答えます」

講演3

先生からみなさんへのメッセージ

質問と回答

惑星や衛星は自転しているのですか?また宇宙の恒星はどうでしょうか? (M・Yさん 小学6年女子)

全部動いています。月も恒星も止まっているものはありません。逆にどうしてかと言うと止まっているのが難しいと考えてください。もし宇宙飛行士に会うチャンスがあった聞いてみるといいのですが、宇宙空間では止まろうと思っても止まれないのです。少しでも何かあったら動き出す。動き出したら止まらない。ということで、答えとしては、質問の天体は全部、太陽も自転していますし、それ以外の星も含めて、すべて自転しています。

オリオン座のベテルギウスってあとだいたい何年くらいでおわっちゃうんですか? (K・Mさん 小学5年男子)

オリオン座のベテルギウスという星は大きな星です。星空に見えている星にも一生があり、生まれたら、最後は死んでいきます。ベテルギウスは星の一生の中でおじいちゃん、おばあちゃんです。 ただ、「いつ?」というのは私もわかりません。例えば、ある人が「あと10年後」というかもしれないし、別の人が「あと100年後」というかもしれません。 ということで、お願いがあります。 将来研究者になって、ベテルギウスがあと何年で最後を迎えるのか?その答えがわかったら、私に最初に教えてください。そしたら、今度質問されたときに私も答えられます。

太陽とか惑星は、あと何年くらいで爆発しますか?約。 (R・Eさん 小学2年男子)

「約」をつけてくれてありがとう。太陽は、だいたい100億歳まで生きると考えられています。太陽系ができてから50億年。ということは、今50億年経ったのであと50億年。つまり真ん中です。 あと50億年すると太陽自身は一生を終えると考えられていますが、そうすると地球はどうなるかというと、おそらく生き延びられません。でも、あと50億年後ですから心配する必要はありません。 それよりも大事なのは、地球の環境です。太陽がどうこうなるから、地球がどうこうと心配するのであれば、そうじゃなくて人間が地球を壊さないようにしなければならないと考えることの方が大事だと思います。ということで、答えは50億年です。

超新星爆発が起こって、中性子星(ちゅうせいしせい)ができたら、その中性子星はそのあとどうなるんですか? (S・Eさん 小学6年女子)

なかなか難しい質問をしてくれました。星の一生がみんな気になるみたいですね。星は最後一生を終えると姿が変わります。太陽のような星というのは、最後、どんどん大きくなると考えられています。太陽は、宇宙空間ではどういう星かというと、よくある重さの星です。 重たい星というのは、赤ちゃん星から一人前の星になり、そのあとは超新星爆発をして中性子星になったり、ブラックホールになったりします。軽い星は、惑星状星雲になり、中心には白色わい星が残ります。 質問の答えは、最終的には残念ながら人間は観測できなくなります。ただ、状況(その星の姿)はどんどん変わっていきます。ものすごく時間のかかる話なのです。 ※先生より追加回答 →中性子星は、数十万年から数百万年で少しずつ冷えていく、という考えがあります。

星の名前ってどうやって決めているんですか? (M・Iさん 小学4年女子)

その星の種類によって決め方が違います。例えば、「ベテルギウス」のような昔からある星の名前は、昔の人がつけました。だから今から名前を変えることは残念ながらできません。 そうではなく、例えば、「めい王星」よりも大きな天体「エリス」がありましたよね。エリスが見つかったため、めい王星は惑星じゃなくなってしまったのですが、「エリス」は誰が名前を決めたかというと、見つけた人です。 見つけた人が、「好きな名前をつけたいです」と提案することができます。ただ、その名前がちゃんと認められるか、ちゃんと「いいですよ」とOKが出るかどうかは別なんです。 国際天文学連合というところで、世界中の天文学者がOKをだすかどうか考えます。どうしてかというと、世界中の人がその星の名前を使いますので、ことばとしてみんなが発音できて、読めることが必要ですよね。 答えとしては、見つけた人が名前をつけることができます。 小惑星の話をしたときに、私の名前「TetsuFuse」という名前の小惑星があるといいました。あれも私がつけたのではなく、見つけた人が「布施さんの名前をつけてあげますよ」と提案してくれて認められたんです。 覚えていてほしいのは、あなたが見つければ(残念ながら自分自身の名前は付けられません)、例えばお母さんの名前やお友達の名前をつけることができます。がんばって、新しい星を見つけてくださいね。

地球の周りには、たくさんの人工衛星がまわっていると言われていますが、それがいつか環境問題のようになってしまうことはあるのでしょうか? (C・Iさん 中学2年女子)

その通りです。故障した衛星や使い終わった衛星、打ち上げに使ったロケットなどが地球の周りを漂っており、国際宇宙ステーションや活動中の衛星にぶつかる可能性があります。

太陽系外縁天体と準わくせいが、しょうとつして、なくなったりしたりするとどうするのですか? (H・Fさん 小学6年男子)

これまでにも、おたがいのしょうとつは何度も起こっているはずです。そのときにできた小さな天体が太陽の方へやってくると、彗星(ほうき星)になると考えられています。

地球から、127おく光年先をみると、昔の宇宙が見えるけど、仮に、そこから地球を見たら、どれくらい昔の地球が見えるのですか? (S・Eさん 小学6年女子)

127億光年先のすがたは、127億年前のものです。地球は46億年前に生まれたので、127億光年はなれたところから見ても、まだ地球のすがたはないでしょう。

星は約何年くらいでばくはつしますか?またばくはつした後、細いものがとびちりますがそれが星になることはありますか? (R・Yさん 小学5年女子)

星の寿命は星の重さで決まり、軽い星ほど長生きし、重たい星ほど一生を早く終えます。重たい星は最後に爆発し、飛び散ったものが地球や私たちの体をつくる物質となります。

クエーサーはどうゆうふうにできたんですか?(M・Kさん 小学5年男子)

クエーサーの正体は、とても遠くにあって、明るく、いろいろな電波を出している銀河の中心です。 活動銀河核とよばれます。

もし先生が新しい星を見つけたら、どのような名前をつけますか?(M・Kさん 小学5年男子)

新しい天体を見つけたら、生まれ育った町の名前や通っていた小学校の名前をつけたいですね。

ブラックホールには寿命があるんですか?また、天の川銀河の中心にある巨大ブラックホールの寿命は何世紀(?)ですか? (S・Iさん 小学5年男子)

周りにすいこむ物質がなくなると、ブラックホールは寿命をむかえると考えられています。天の川銀河(銀河系)の中心にある巨大ブラックホールは、宇宙の年齢(137億年)よりももっと長生きするでしょう。

ブラックホールにすいこまれたら、でられるんですか? (M・Yさん 小学4年男子)

ブラックホールはとてもひっぱる力(引力)が強いので、一度すいこまれたら、二度とでてくることはできなくなってしまうでしょう。

ブラックホールにおいこまれるとどうなるのですか。本当に穴って空いてるのー。 (R・Kさん 小学4年男子)

ブラックホールは、とても引っぱる力(引力)が強い天体です。その引力によって、すいこまれた物はなんでもばらばらになってしまうでしょう。

星は、なんこありますか? (S・Yさん 小学2年女子)

星は、全部で2000億の2000億倍(40000000000000000000000)くらいあると考えられています。

せいざは、なんこありますか? (S・Yさん 小学2年女子)

星座は全部で88個です。

星はいろいろな色があるけど、なんしょくありますか? (S・Yさん 小学2年女子)

星の色はその温度で決まっており、青白い星は温度の高い星、赤っぽい星は温度の低い星です。

火星とかいろいろな、わくせいが、あるけれど、なんこありますか? (S・Yさん 小学2年女子)

惑星は、全部で8個です。

天の川は一年中どこの国でも見えるんですか。 (Y・Sさん 小学5年女子)

天の川は星がたくさん集まったところです。どこの国からでも一年中見えますが、夏の天の川の方がはっきりと見えます。

流れ星は一年にどのくらいながれるのですか?お願いします! (Y・Sさん 小学5年女子)

地球の大気には、近くにあった小さなチリが毎日、何十トンも入ってきています。そのうち明るく光ったチリが、流れ星として見えるのです。

ながれぼしはどうやってできるのですか? (S・Kさん 小学1年女子)

ながれぼしは、大きさ1ミリくらいのチリが、地上から100キロメートル(富士山の26倍の高さ)のところで光ったものです。「ほし」といっても、地球の空気の中で光っています。

いん石も星のようにたいようのまわりを回っているのですか。 (Y・Tさん 小学6年男子)

そのとおりです。惑星などと同じように、太陽の周りを回っていた石が、たまたま地表にまで落ちてきた物がいん石です。小さいチリは、大気中で光かがやき、流れ星となります。

太陽は動いてないのですか。たとえば自転しているとか。 (Y・Hさん 72歳女性)

太陽も、約27日で自転しています。

月も太陽のまわりを回っているのですか。水星とか他のわく星も地球のように自転しながら太陽のまわりをまわっているのですか。 (Y・Hさん 72歳女性)

月は、地球の周りを回りながら太陽の周りを回っており、水星などの惑星も自転しながら太陽の周りを回っています。

現在はないけれど、遠い将来南極星が生まれるということを聞いたことがありますが、可能性はありますか? (R・Mさん 69歳男性)

地球の自転軸の方向は、約2.6万年の周期で回転しています。将来、自転軸の南側の方向がある星にぴったりと向くことはあり得ると思います。

大きさ、とか、重さって何ですか? (T・Sさん 49歳男性)

物体はすべて小さな原子・分子からなっていますので、「大きさ」は物体を構成する原子や分子のつくり(構造)「重さ」は物体を構成する原子・分子の重さの総和です。天体の大きさや重さは、スケールは大きいですが、日常の大きさや重さと同様に考えられます。

星にそれほど興味ないと思われる人たちが冥王星を惑星からハズすニュースにあれほど反応するのは何故と思われますか? (天文ボランティアさん 46歳男性)

当たり前であったことが、突然変わってしまった点に注目したのではないでしょうか?正しい説明を聞けば、「なるほど、そうだったのか」とみなさんすぐに納得するはずです。

冥王星の衛星であるカロンも、大きいだけでなく、太陽のまわりをまわっているということで、準惑星に分類されるのでしょうか? (Y・Uさん 45歳男性)

準惑星の定義の中に、「衛星ではない」という項目があります。そのため、衛星のカロンは準惑星には分類されませんでした。

ウィットにとんだ楽しい天文学者の先生。先生は、どのような少年時代をすごされたのでしょうか? (えみりさん 34歳女性)

人生は一度きり、昔からいつも楽しい時を過ごすことがモットーです。講演時間が有意義だったと少しでもお感じになられたのでしたら、うれしい限りです。

何故はやぶさで問題になった小惑星イトカワのような形が球じゃないものと、太陽や惑星、準惑星のように球状のものがあるのですか?球状じゃないものの方が球のものより多いのでしょうか? (Oさん 無記)

たくさんの物質からなる大きな天体は、小さくまとまろうとする自己重力が強いため球状になります。惑星・準惑星の定義の「球状である」という項目は、「十分大きな天体である」を意味しています。

ページ先頭へ戻る