プラネタリウム

第67回 太陽系外惑星研究の最前線 我々が暮らす惑星系は特殊なのだろうか

十数年前まで太陽系しか知らなかった人類が、今では1000個近くの他の惑星系が存在することを知っています。
太陽系外の世界は、我々の住む世界とどのように違うのでしょうか?我々の住む世界は、他の世界と比べてどのような特徴を持っているのでしょうか?
現時点での科学者の理解と今後の展望について解説していただきました。

概要

日時

平成24年11月24日(土曜日)

講師

生駒 大洋(いこま まさひろ)氏
(東京大学 准教授)

講演プログラム(当日配布したレジュメより)

  • 太陽系の姿
  • 太陽系の成り立ち
  • 系外惑星の発見とその多様さ
  • 太陽系らしさとは
  • 地球の特殊性
  • 今後の系外惑星探査
  • 質疑応答

聴講者からの質問と講師回答

ハビタブルゾーンにあると思われる星は何個ありますか?(T.Sさん 男性・44歳)

講演会で説明しました「ハビタブルゾーン」内には、すでに数十個の惑星が見つかっています。
しかし、その多くは木星のような巨大ガス惑星と思われる惑星であったり、必ずしも生命居住可能な惑星であるとは言えません。

地球型惑星以外で生命の存在する天体はありますか? 太陽系なら木星の衛星エウロパに生命があるといわれていますが、太陽系外ではどうなのですか? (Kさん 男性・44歳)

現時点で、地球以外で生命の存在が確認された天体はありません。
木星の衛星エウロパも、液体の水が存在することは確認されていますが、生命が存在するかどうかは今後のロケットによる生命探査の結果に期待しましょう。太陽系外については、まだまだこれからです。

木星や土星の衛星に生命を探す研究についてどう思われますか?(Tさん 男性・48歳)

とにかく地球にしか生命およびその痕跡が見つかっておらず、生命に対する我々の理解を一般化することができません。地球以外の環境で生命が発生・進化しうるかを知るためにも、木星や土星の衛星は良い研究対象だと思います。

いろいろな方法で探査していますが、生命がいつどんな方法で見つかる可能性が高いのでしょうか? (Kさん 男性・54歳)

系外惑星の大気組成を観測的に調べることで、酸素などの生命由来のガスを検出することから始まると考えられます。そうした動きについては10年以内の開始が検討されています。

地球を衛星から観測して生命がいる星が必ず示す特徴がわかったと思いますが・・・。(Kさん 男性・54歳)

酸素などの生物由来のガス種の存在や植物による特定の光吸収などが宇宙から確認できることが分かっています。

酸素以外で生命由来と考えられるマーカーはありますか?電波はもう十数年見つかっていないと思いますが・・・。(Sさん 男性・51歳)

酸素以外に、オゾンやメタン、アンモニア、亜酸化窒素などがマーカーではないかと考えられています。
ただし、場合によっては非生物的にも生成可能であるため、まだ確定はしていません。
また、光合成植物による特定の光吸収を検出しようという提案もあります。

太陽系形成時の京都モデルにおいては、系外惑星のシュミレーションのようなガス惑星の恒星へ吸い込まれる現象は見られませんが、我々太陽系形成時に本当に系外惑星のシュミレーションのような事が起きなかったのですか?(?さん ?・?歳)

多数の物理過程が複雑に積み重なった結果、最終的な惑星系が完成します。その中には不確定な要素もたくさんあります。したがって、残念ながら現時点で「本当に」と言うことはできません。
1つの考え方として、系外惑星の多くは中心星方向に移動し、太陽系ではそれが起きていないというアイデアを提案しました。それを何らかの方法で科学的に検証していくことが今後の課題となります。

また、先に述べた系外惑星のシュミレーションの作用によって、3体相作用が発生したということなのでしょうか?(?さん ?・?歳)

3体相互作用とは3つの惑星同士の相互作用です。
一方、恒星へ「吸い込まれる現象」は、惑星と原始惑星系ガス円盤との相互作用です。

惑星の光が宇宙空間に飛び出さないのはなぜですか?ダークマターの間をどのように通過しているのですか?(Nさん 男性・?歳)

惑星の光も宇宙空間に飛び出していますし、ダークマターの間も他に光を吸収する物質が無ければ、光はそのまま通過します。

以前I県に住んでいたときに、その頃からUFOをみるようになり4~5回あります。 同じ時に一緒にいたのに見た子供、見えない子供がいました。他の人に4人位に「見たことある?」ときくと、4人とも「みたことあるよ」とふつうに答えられていました。その方も、奥様にはみえないから言わないようにしていると言われていました。 先生はUFOや宇宙人について、どう考えられていますか?(Rさん 女性・43歳)

興味深いお話ですが、人によって見えたり見えなかったりするもの、つまり再現性のないものは通常は科学の対象ではありません。したがって、科学者の立場としてコメントすることはできません。

ケプラー宇宙望遠鏡のような惑星を探すミッションはNASA以外でも行われているのでしょうか。また宇宙機の運用期間を考えると、数年のうちにもっと高性能な観測機器が開発されて次の惑星探しのミッションが計画されそうな気がしますが、予定されているものはありますか?(Tさん 男性・49歳)

例えば、ヨーロッパのESAは、ケプラー宇宙望遠鏡に先駆けて、コロ宇宙望遠鏡を打ち上げました。
欧米では、さらに複数の宇宙望遠鏡が計画されています。日本ではまだ1つも計画されていません。皆さんのご理解・ご支援が必要ですので、よろしくお願いいたします。

ケプラー望遠鏡の観測結果は公転周期の短い惑星候補が多く見つかっていましたが、今後観測を続けると、より長周期の惑星候補も見つかるでしょうか?(Sさん 男性・44歳)

はい、より周期の長い惑星が見つかると期待されます。ただし、周期が長くなるほど発見確率が下がるので、単なる観測時間だけの問題ではありません。

スーパーアースは、木星のようにガス惑星の仲間でもあるのですか?その場合、最初にできる場所は木星よりも内側の位置ですか?(?さん 女性・?歳)

スーパーアースの中には、水素を主成分とする大気を持つ惑星もあると考えられます。大気量は木星と大幅に異なりますが、水素の大気で覆われているという点では木星の仲間と言えるかもしれません。そうした惑星は、木星より内側で作られることも可能です。

太陽系のようにクールジュピターを2つ持つ系は見つかっていますか?(?さん 女性・?歳)

はい。1AUより遠くに木星級の惑星が2つ見つかっている惑星系もあります。

2つ3つ以上の星の周りにも惑星ができるかと思います。 そういう場合もいままでのドップラー法などでみつける事はできるのでしょうか?(Oさん 女性・53歳)

はい、ドップラー法で見つけることも可能です。

系外惑星の研究で、地球型惑星がみつかるのはいつごろになるでしょうか?(Oさん 女性・53歳)

単に岩石を主体とした惑星という意味で言うなら、CoRoT-7bなどは「地球型」と呼ぶことができます。
海があって大陸がある惑星という点では、10年~20年後かも知れません。
しかし、未来はなかなか予想できませんね。
※CoRoT-7b…恒星CoRoT-7の周りを公転している太陽系外惑星。

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