プラネタリウム

第87回 太陽系外惑星からの挑戦 太陽系そして系外惑星の形成

太陽系以外で惑星が発見されてから20年が経ち、その発見数は3,500個を超えました。
多種多様な太陽系外惑星の登場で私たちの「惑星の作り方」の理解は急速に進みました。本講演会では皆さんと一緒に、最新の惑星形成論とともに、太陽系の誕生そして太陽系外惑星の謎に迫りました。

概要

日時

平成28年10月29日(土曜日)午後7時~午後8時30分

講師

堀 安範(ほり やすのり)氏
自然科学研究機構 アストロバイオロジーセンター 特任助教
国立天文台 太陽系外惑星探査プロジェクト室 併任

講演プログラム(当日配布したレジュメより)

  1. 惑星形成論 ※Q1
  2. 太陽系の誕生と謎
    ブレイクトーク:地球の水はどこから?※Q2
  3. 太陽系外惑星の発見と形成
  4. 太陽系外惑星の探査 ※Q3
  5. 太陽系外惑星から挑むアストロバイオロジー

アンケート内容と結果

講演中に計3回(講演プログラム※印箇所で)、聴講者へアンケートが行われました。
以下がアンケート内容と結果です。

Q1.ここまでの太陽系の作り方を聞いて、

(1)大変、よく出来ている  7票
(2)概ね良い        27票
(3)何かおかしい気がする  61票

Q2.地球の水はどこから来た?

(1)彗星から運ばれた      32票
(2)小惑星(隕石)から運ばれた 35票
(3)地球で作られた       26票

Q3.昔の地球の大気はどうなっていた?

(1)いまと同じで窒素や酸素      6票
(2)金星や火星と似た二酸化炭素    61票
(3)木星や土星みたいな水素やヘリウム 24票

聴講者からの質問と講師回答

惑星と小惑星の共鳴では、3:2はOKだが2:1は安定に存在できないということを聞いた事がありますが、海王星の外側ではどうなのでしょうか?(Nさん 男性・57歳)

海王星以遠でも 2:1 よりも3:2の関係にある、小天体 (TNO) の割合が高いのです。しかし、これは海王星が昔に経験した外側移動の速度にも依るため、安定性とともに海王星の移動という二つの要因が関係しています。

ホットジュピターがある系外惑星は、太陽系よりも若い惑星系ということでしょうか? (?さん 男性・40歳)

現在、発見されている(ホットジュピターを含む)太陽系外惑星系の年齢は数億年から数十億年のものが多いです。これは若い恒星の周りに存在する系外惑星を発見することが観測的に困難なためです。

ホットジュピターのように太陽系も変化するのですか?(?さん 男性・40歳)

太陽系はホットジュピターのようには変化しません。その理由は、惑星が移動してホットジュピターのようになるために、周囲にもやもやの円盤ガスがないといけませんが、いまの太陽系ではこうした円盤ガスは消失してしまっているためです。

太陽系は安定期ですか?これから先、まだ移動していきますか?。(?さん 男性・40歳)

コンピュータ シミュレーションから、太陽系が今後 55億年間で不安定になる確率はおよそ1%と言われています。太陽系が不安定になる場合、地球型惑星は太陽あるいは互いに衝突する可能性があります。

木星はコアがなくて土星にコアがあったということですが、シュミレーションで確認できたのでしょうか? (Yさん 男性・50歳)

木星や土星のコアの大きさは、探査機で測定された重力場の情報を再現する内部構造モデルから推定されています。正確なコアの大きさが決まらない理由の一つに、その重力場の観測精度にあります。

私が読んだ天文学の教科書では、京都モデルで太陽系を説明していますが、近々、京都モデルの説明は変わるのでしょうか? (Yさん 男性・56歳)

太陽系の誕生は大きな枠組みでは京都モデルで問題ないかもしれません。しかし、木星や土星の大移動のGrand Tack仮説やニースモデルなどが新たに提唱されています。残念ながら、まだ確定的ではありませんが、今後、もしこうしたアイデアが本当に正しいとなりますと、太陽系の説明に修正が加えられることになります。

木星、土星がもっと太陽近くでできたということですが、それが外側へ移転したメカニズムは何でしょうか?(Sさん 男性・72歳)

これは木星・土星ペアと周囲に存在したガス円盤との相互作用です。この相互作用から生じる力が内側へ落下させるよりも、外側へ移動されるの方が強かったためです。

太陽系のような円に近い軌道を持つ惑星系は、一般的なのですか?それとも特殊なものですか? (Tさん 男性・53歳)

円に近い軌道の系外惑星系の割合が高い傾向にあります。

ペガスス座51番星のホットジュピターは、将来的に軌道がかわるのでしょうか?(Tさん 男性・53歳)

恒星が主系列星と呼ばれる段階にある限りは、現在の軌道を維持します。その後、恒星が赤色巨星の段階へと進化すると、最終的に星に飲み込まれる可能性が高いです。

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