プラネタリウム

第104回 星を結ぶ発想 星座の歴史と地球の回転

星座の歴史は5000年以上ありますが、地域や年代により様々な特徴があります。チグリス川・ユーフラテス川に挟まれたメソポタミア文明、ナイル川流域の古代エジプトの星座、黄河流域の古代中国の星宿等々。プラネタリウムで当時の空を再現し、地球の回転を感じながら人々の発想を辿ってみました。

(講師からのメッセージ)
 ふるさとの星空を見上げていると、幼い頃の懐かしい唄がよみがえってきます。そして旧友とハーモニーを楽しんでいるような気持ちになりませんか? 
満天の星降る高原でも、一番星しか見えない都会の夜空でもいいのです。子供の頃から見慣れていて、ほっと一息つける、そんな星空が誰にでもあります。星を見る楽しみは、何かを収集することが目的の趣味とはちょっと違います。それは夜空の星は誰のものでもありませんし、星をカバンに入れて持ち帰ることもできないからです。
 星を結んで創られた星座は、長い歳月をかけ夜空のカンバスに描かれました。古代の人々が神殿の天井や壁にたくさんの星を彫刻したのは、神秘的な星空を手の届く所に置き、より見近に感じていたかったのでしょう。晴れた宵に、ぜひ星空を見上げてみてください。

概要

日時

令和元年8月31日(土曜日)午後7時~午後8時30分

講師

國司 眞(くにし まこと)氏
かわさき宙と緑の科学館 天文・科学・自然担当

講演プログラム(当日配布したレジュメより)

  1. はじめに(みなさんへのアンケート)
  2. 夏から秋の星座
  3. 地球の自転・公転・歳差運動について
  4. 古代バビロニア・エジプト・中国の星座
  5. 大航海時代から現在の星座
    質疑応答

聴講者からの質問と講師回答

メソポタミアの頃やエジプトの頃の星座は、今と同じ位置関係だったのですか?(?さん・男性・67歳)

メソポタミア地方、エジプトのナイル川流域で考えられた星座と現在の星々の位置関係はほとんど変わりません。しかし、歳差運動により回転の中心(天の北極)が異なるので、同じ緯度でも5000年前と現在とでは見える星座の範囲が少し変わります。

現在の星座88は、ほぼ西洋星座と思いますが、中国星座や和名から採用された星座はないのでしょうか?(?さん・女性・51歳)

現在の星座には中国や日本の星宿や和名が起源の星座はないようです。

星座をむすんでいた星がその後消えてしまった(爆発)ということはありますか?(Yさ・男性・45歳)

りゅうこつ座η星は-0.8等から8等まで明るさの変わる変光星で、1840年代にはシリウスに次ぎ全天で2番目に明るい恒星でした。しかし現在では6等級前後で、この星から放出されたガスでできたイータ・カリーナ星雲が観察されます。この星は爆発を繰り返し変光し、消滅はしていませんが現在は星座線で結ぶことはほとんどありません。

星座をむすぶ線や星座絵というのは、決まりがあるのでしょうか?わし座の向きが下向きじゃなくて横向きのものを見たことがあるのですが…。(?さん・?性・?歳)

星座の結び方は様々で、これといった決まりはありません。教科書の結び方も出版社によって違いますし、星座早見もまちまちの結び方です。ただ、隣の星座の星を結ぶことはできません。ペガススのヘソに当たる星はアンドロメダ座に属しますので、ペガススの四辺形の二辺を点線で結んだりすることがあります。

星座にはギリシア神話のストーリーが付随していますが、昔の中国の28宿にもストーリーはあるのですか?(Sさん 女性・41歳)

中国の古典である水滸伝に28宿が登場するようです。

星座を設定した人の名前が、過去の年鑑と現在とで違っていることがあるのはなぜですか?(Nさん・男性・60歳)

過去の年鑑とは天文年鑑のことでしょうか? 年鑑の著者は交代することがありますので、過去と現在の著者の見解により記述が異なるのかもしれません。その理由として歴史の解釈が新しい発見により変わったのかもしれません。

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